教室で見かける年長児の姿

年長の間に考える活動が楽しくなってくる子が増えてきます。

年中までは、「とにかくやってみたい」という身体の要求が先で、

動いて初めてわかるという状態なのですが、年長になると考えこと自体が

面白くなってくる子が多いです。就学前になると、

『自分の意志の力やねばり強さを極限まで使いきる』のに熱心になってきます。

 

その子らしさがはっきりしてくる

論理的に考えるのが得意で、几帳面で創造力豊かとか、

語彙量が多く、理解力が高く、想像力と創造力が優れているなど、

個性が目で見てわかりやすいものになってきます。

 

カテゴリ化、階層化、分類化

もう一つの主要な成長の領域は、カテゴリ化、階層化、分類化の能力です。

動物というカテゴリーの中に犬とか猫が含まれるということを理解しはじめる子がいます。

まだ言葉上でははっきりとらえられなくても、遊びの中では、

カテゴリ化、階層化、分類化の進みが見られます。

 

身体や頭を使う遊びに根気が伴いだす

身体や頭を使う遊びに根気がともないはじめます。そのあらわれ方は子どもの個性や好みによってちがいます。

折り紙やあやとりでその力を洗練させる子もいるし、カルタやなぞなぞでがんばる子もいます。

スポーツでその力を発揮する子もいるし、ボードゲームや図形パズルに夢中になる子もいます。

考えを練っていく持久力のようなものもついてきて、

失敗が続いたり、面白くない展開になったりしても、すぐに投げ出さずに、

「もうちょっと考えてみる」「まだやめたくない」と言ってふんばる子が増えてきます。

 

 

 

 

逆思考の問題がわかりはじめる

5個のお菓子を見せて、

「お父さんが3個食べちゃったから、5つになっちゃったよ。

はじめ、いくつあったのかな?」のように

結果から遡って、最初にあった数を当てる問題は、

年中さんの頃にはできなかったのに、

年長さんになると急にそうした思考が得意になってくる子がけっこういます。

 

<逆思考のクイズ 1>

5つドーナツ(家にあるものなら何でもOK)を皿に乗せたものを見せて

「お兄ちゃんに2こ、お姉ちゃんに3こドーナツをあげたら、これだけになっちゃったの。

はじめは いくつあったでしょう?」と問います。

 

<逆思考のクイズ 2>

ドーナツを7つにして、

「お兄ちゃんに2こ、お姉ちゃんに3こドーナツをあげたら、

これだけになっちゃったの。

はじめは いくつあったでしょう?」

 

<逆思考のクイズ 3>

同じ量のジュースを注いだコップが5つあります。

さまざまな量に変化したジュースの量を見比べて、

「1番たくさんのんだのはどれ?」

「2番目にすこしだけのんだのはどれ?」とたずねる。

 

<逆思考のクイズ 4>

「大阪駅で何人かの人が電車に乗っていました。

東京駅で4人おりて、1人のってきたら、

電車のなかのお客さんは5人になりました。

最初に電車に乗っていたのは何人でしょう?」

 

興味の深め方が複雑なものになる

11

深海魚が好きな子が、海の深さ別に住んでいる魚を分けて貼った作品です。

戦国武将、恐竜、忍者、昆虫など子どもによって興味の対象はさまざま。

そうした好きの追い方が、少しずつ複雑なものへ変化していきます。

 

● できるようになったことをお友だちに教えてあげる

友だちに自分のできることを教える活動を通して、

自分への信頼感が育ってくる。

        
●  過去、今、未来について

時間の流れのなかで理解が進む。

        
●  周囲の環境や出来事について、より繊細な感受性でとらえるようになる

 

 

問題解決

工夫して、問題が起これば解決するようなことをあまりやらせていない場合が

よくあります。

たとえば、親御さんにすればくだらないことのように見えるごっこ遊びや

同じものばかり作っているような工作も、自発的に主体的に行うなら、

想像する力、観察する力、思考する力、言葉の力、熟考する力、ひらめく力、

くじけずにしっかり関わる力、何をするのか課題を決定する力、柔軟に対応する力、集中する力、

サイズを認識する力、形や位置を認識する力、理解力、熟考力などが身につくのです。

 

年長児 と 算数の世界

虹色教室では、年長の子たちには、具体的に操作できるものを使って

小学1年生用の難しいレベルの問題(奨学社の最レベ問題集やサピックスのきらめき算数脳など)

に取り組んでもらっています。

具体的なものを扱いながらだと、少し長い文章問題も解ける子が出てきます。

21

 

大きい数からだんだん小さくなっていく数を唱える遊び

<ひき算の暗算ができるようになる>

昔から、まりをつきながら数を唱える遊びはたくさんあります。

でも、お家の中でボールをつくことはできないし、

数を唱えるのに役立つほどボールをつける子はあまりいないかもしれません。

風船に輪ゴムをつけてパンチングマシーンにして、

それを打ちながら数を唱えるのは、現代っ子が数え歌を楽しむのにちょうどいい遊びです。

 

その際、10からだんだん小さくなっていくように、「10、9、8、7、6……」と数えてみます。

また、100からだんだん小さくなっていくように、「100、99.98、97……」などと唱えるのにもチャレンジしてみます。

逆さに唱える遊びをたくさんしていると、引き算の概念でつまづきにくいです。

また、暗算でできる計算をひっ算でする悪い癖もつきにくいです。

 

お金に親しむ

お金に親しむ機会を増やすと、ケタの大きな数への理解が進みます。

たとえば、100円のおこづかいを渡す際に「10円玉10枚であげる」「50円玉1枚と10円玉5枚であげる」など工夫し

ます。

0 (2)

「5と5で10」ができるかな?

両手を広げて、「5と5で10」と言いながら、

手をあわせます。

それぞれの手の平の先に5円玉をおいてみて、

5円玉の5と指の5が同じであることを確認します。

9 (2)

 

5円と50円

5円玉や50円玉をいくつか並べて、いくらになるか学習します。

下の写真は、5円玉を4枚横に並べたところです。

34

 

親指と人差し指を使って川辺の石を渡っていくように、指で石から石へ飛び越える真似をしながら、「5円、10円、15円、20円、25円、30円!」と唱えていきます。最後まで渡りきれたら、次回は50円の飛び石にチャレンジしてみます。

 

3 (4)

道具 お金で発展させることができます

 

あわせていくつじゃんけん

<じゃんけん5>

000

(「あわせて5にするじゃんけんするよ。じゃんけん2、あといくつで5?」

と言って2を出します。

相手の子は3を出します。同様にさまざまな数で合わせて5になるように手を出しあいます)

 

<じゃんけん10>

じゃんけん5と同じ方法で合わせて10になるように手を出し合います。

指遊びでも紹介しています

 

数を推理する遊び

子どもがビー玉等を手の中に隠して、「いくつでしょう?」と問うゲームをします。

「4より大きいですか?」

「3以下ですか?」

「2と7の間にある数ですか?」など、数について質問をして、

子どもに答えさせ、数を当てて遊びます。

「以上」「以下」「未満」などの正しい範囲に強くなります。

 

  10のトレイでも紹介しています

 

 単位の変換や繰り上がりの概念に親しむために

赤いカード(シールやハンコも可)を10枚集めたら、

子どもが喜ぶ何かの特典(「好きなゲームにつきあう」「お菓子をいっしょに作る」など)

と換えることができるキラキラしたカードと交換します。

生活の中で、「同じものを10個集めて、よりいいもの1個と交換する」ことを

体験させていると、「1㎝=10㎜」といった単位の変換や

繰り上がりを学ぶ時につまづきにくくなります。

11個持っている時に、「10個をレアカード1枚と交換して、1つ余るな」と

わかる感性が身についていると、小数点の学習でもつまづきにくいです。

 

目盛りのついたはかり、体重計等に親しむ

 

00-2

 

目盛りのついたはかりにいろいろなものを乗せて量ったり、ものさしを使って工作をしたり、

風呂上がりに目盛りのついた体重計で体重を量ったりします。

目盛りを読むことに親しんでおくと、長さや小数の学習でつまづきを減らすことができます。

 

はかる道具で発展させることができます

 

年長児とゲーム

将棋に似たルールのゲームなどに親しむ子がでてきます。

ルールに敏感です。

 

すごろく風ゲームとさいころの数

簡単なすごろく風ゲームをする際、さいころを2~3個使うようにします。

サイコロを振る時、何個振りたいか子どもに判断させます。

2個振ると、出た目を足した分だけ進めます。

子どもはより多く進みたいと思うので、進んで足し算したがるはずです。

指を折って数えるのではなく、手の指をパッと見て判断するか、10のくぼみのあるトレイを使って、計算させるようにします。

 

 人気のゲーム

『バトルシップゲーム』

f

 

 

●『ポーションエクスプロージョン』

計算が楽しくなります。

 

●『アルゴゲーム』 

算数が得意になります。

 

●『ピッグテン』

 就学準備にぴったりです。

 

●『パトリシアン』
●『キングオブトーキョー』
●『ストラテゴ』

(軍人将棋の一種で、相手にコマの数が見えないようにして戦います)

 

<ハプニングカード>

ハプニングカードを引いて、算数の問題を解いて、答えの数だけ進むようになっています。

ハプニングカードは易しい算数問題やだじゃれやなぞなぞなどを書いて作ります。

お家にある飽きてしまったようなゲームも、オリジナルのハプニングカードを作ることで

別の楽しみ方ができます。

 

<じゃんけんゲームの表>

じゃんけんで、勝ったら3点、あいこは2点、負けたら1点というルールを決めます。

合計得点を競います。

暗号遊び

暗号表を作って遊ぶと位置の表し方が得意になります。

暗号表作りは子どもたちが夢中になる遊びのひとつです。表を作って、家族やお友達に面白い暗号文を届けましょう。

 

<作り方>

折り紙を6×6マスになるよう折ったものを2枚用意します。

一番上横の列に左から順に、最初の1マスだけはあけて、1~10までの数字をかいていきます。

数字の下にひらがな表を書きます。

一番右のたての列の最初の1マスはあけて、好きな記号を1マスごとにかいていきます。

 

たての列に、

♡ ◇ ☆ □ ●

とかいた場合、

いぬ 1の 5の☆ 
りす 9の◇ 3の☆ 

とあらわします

 

4年 箱の形 平行でも紹介しています。

 

年長児 と 創作活動

「こういう風にしたい」という目的のもとで作るようになります。

 

9-2 665

紙を折って、ハートや星の形などを線対称になるように切り取ったり、

切り取った形の裏に別の色の色紙を敷いて見え方を工夫したり、

外から見たら対称になるように内側がどちらも裏になるよう貼るなど、

仕上がりをイメージして頭を使って作ることを好みます。

 

年長児と日常の関わり

身のまわりで見聞きするものに対して、

これまでより深いレベルで関心を抱くようになります。

オリジナルメニュー表作り

メニュー

へんてこなレストランのメニュー表作り。自分で好きな値段をつけるのは面白い。

大きな数字を読むのが楽しくなります。

 

ままごとお店屋さんごっこでも紹介しています

 

3年重さでも紹介しています

 

2年水のかさでも紹介しています

 

重さを感じるおもちゃ

 

下の写真のような簡単な重さを体感する道具を作ると、ままごとで遊びながら小学3年生で学ぶ、「重さ」や「重さの単位」について親しむことができます。

(これは、正確に重さを量るためのものではありません。)

 

また、幼児~低学年の子の計算学習を楽しくする小道具として重宝します。

 

 

 

作り方

<1>プリンやヨーグルトの空き容器(紙コップもOK)にひもで取っ手をつけます。

 

<2>取っ手と取っ手をひもでつないで、ブロックで作った台に引っかけると下の写真のようになります。

 

 

 

 

<3>空きカップにセロテープでひもを貼り付ける時、下の写真のようにひもがセロテープから少しだけはみ出るように貼ってから、
上に折り返します。その上からテープを貼り直すと、引っ張ってもはずれにくくなります。

 

 

<ブロックの台を上かた見たところ>

遊び方例

ままごと遊びで小道具として使います。

食べ物の重さを量るふりをして遊びます。

ひもの摩擦があるので、正確に量りの役割を果たすわけではありませんが、重さへの興味を育みます。

 

一方のカップにままごとの食べ物を入れて、もう一方におはじきやビー玉を入れて、「30gです!」と言ったり、「200gは300円です」と言ったりして遊びます。こんな風に、量っている真似事をするうちに、重さの単位を覚えたり、本物の量りで物を量ってみたいという気持ちにつながったりします。

 

計算を楽しむ足し算ゲームとして使う

(簡単な計算ができる子向けの内容を紹介しています。計算するのがまだ難しい子と遊ぶ場合、おはじきを数えて入れる形で

ゲームを楽しんでください)

 

<1>右の容器に小さい人形など(下の写真ではおもちゃのクッキーを入れています)を入れます。

 

 

<2>左の容器に、最初におはじきを5個入れてから、ゲームを始めます。

順番に自分が足したい数のおはじきを左の容器に入れて、足し算の答えを言っていきます。

ひとりめの人が3個入れた場合、「5足す3は8」と言います。

次の人が5個入れた場合、「8足す5は13」と言います。

その次の人が2個入れた場合、「13足す2は15」と言います。

そんな風にして、どんどん足していって、自分の番の時に容器が下がって床についたら勝ちです。

容器が下がる前に、子どもにとって計算が難しくなってしまった場合、大人が紙にひっ算を書いて、

解く様子を見せてあげると、見ているだけで、2ケタのひっ算の仕方を自然に覚えてしまいます。

 

 

年長の子たちと読書習慣

子どもたちがずっと本と仲良しでいられるように、定期的に本屋に通って、

子どもに自分の好きな本を選ばせたり(マンガやおもちゃのような本は一部除きます)、

図書館通いを習慣にしたりするのはいかがでしょう?

図鑑も、さまざまな種類があるので、子どもといっしょに見比べて選ぶようにするといいです。

自分で選んだ本は何度も読みます。図鑑も自分で決めたものは、隅から目を通す姿があります。