はかる道具

料理用のはかりがあると、子どもは好奇心から次から次へと物をのせたがります。

そうしたどの子も持っている好奇心が確かな学力とつながるような体験を用意してあげるためのアイデアを紹介します。

 

はかる道具はこんな学びに役立ちます

■ 重さの計算
■ 目盛りの読み方の学習
■ 単位量あたりの重さ
■ 小数

 

 

 

目盛りが読めるようになるまでのステップ

まだ目盛りを読む準備のない子には、無理に教え込まず、「500のところより少ないね」「100グラムより多いね」とはかりに親しむので十分です。

 

ステップ1  

<目盛りを大きく書き出す>

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目盛りを読むのが苦手な子には、

「10円を5に分けると、いくらずつになるか?」

「100円を5に分けると?」

「1000円を5に分けると?」

「500円を5に分けると?」という問題から練習させます。

 

上の写真の目盛りの場合、「50だから、10、20、30、40、50!と分けている

めもりはどれかな?」と探します。

 

 

ステップ2

<容器の重さをひいて、はかったものの重さを計算する>

10gの容器に100gのものを乗せてはかると、目盛りは110gをさします。

110から容器の10gを引いて、正しい重さを求める方法を学びます。

 

ステップ3

<同じものをまとめてはかってから、ひとつの重さを求める>

 

● 20こスーパーボールを入れてはかったら100gだった場合、スーパーボールは1つ何グラムか考えてみます。

 

● スーパーボールが1こ5gだった場合、250g分のスーパーボールが入っている容器に何こスーパーボールが入っているのか計算してみます。

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(この計算がピンとこない子には、紙に「5」をたくさん書き出していって、250になるのは

いくつ「5」がある場合か考えます。

 

 

ステップ4 <表に、重さを書いて比べる>

スーパーボールすくいやビー玉やおはじきを使ったゲームなど

で、それぞれが手にした分の重さをはかりで量ってみましょう。

下の写真のように、シンプルな表を作って、重さを書き込んでいきます。

重さの合計を競いあったり、平均を求めたりします。

 

 

 

3年重さでも紹介しています

 

学習

<重さの単位の変換ができるように紙のボードで練習>

「白い紙にいくつかの数字を書いただけ」という紙のボードを使って、単位の変換の練習をすると、プリント等で学ぶよりも気楽に取り組める上、規則に気づきやすくなるので理解が定着します。

 

下の写真は、20、900,8700,15000の数字を書いた紙のボードです。

㎏をgに変換する学習をするために使用します。

 

<問題例>

 

「20㎏は何gですか?」

「900㎏は何gですか?」

「8700㎏は何gですか?」

「15000㎏は何gですか?」

 

<難しいレベルの問題例>

「20gは何㎏ですか?」

「900gは何㎏ですか?」

「8700gは何㎏ですか?」

「15000gは何㎏ですか?」

 

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遊びのなかでのはかる場面

オリジナルゲーム

『〇〇すくい』スーパーボールすくいでも、ビー玉すくいでも、おはじきすくいでも

すくう道具をちょっと工夫をするととても盛り上がります。

また、自分ですくったものの重さは何グラムか、量りたがります。

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ペットや人形たちの体重測定

下の写真のように、飼っている昆虫や小動物の体重を量ってみませんか。

子どもは、こういう特別な体験が大好きです。

ひろってきた小石をかごに入れて量ったり、氷をコップに入れて量ったりする取り組みにも、興味を持つはずです。

かごの重さとかごに小石を入れた重さをはかって、小石の重さを計算したり、コップの重さと氷を入れたコップの重さを量って、氷の重さを計算したりしてみます。

 

<容器の重さを引くことに気づくように>

はかりは、トレイを乗せていない時にゼロになるように、目盛りを調整しておきます。

先にトレイだけの重さを量ってから、乗せたいものをトレイに置きます。

子どもが自分でトレイの重さを引かなくてはならないことに気づくよう、

ゆっくりと会話についきあいます。

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3年重さでも紹介しています

 

はかりに親しむ日常のシーン

<はかる道具いろいろ>

はかり てんびんばかり 体重計

ものさし コンパス

温度計

時計 ストップウォッチ

 

 

● 料理 表示の重さ通りかはかってみる

料理の本を見ながら、「小麦粉300gとか、強力粉40g」といった重さの表示通り量って子どもと料理を楽しみます。

「じゃがいも大1個分」と書かれている場合、大きいサイズのじゃがいもを量ってみて、だいたい何gのことだったのか確かめます。

はかりに親しむことで、重さの問題に対する感性が高まってきます。

 

● 重さを実感する簡単なエレベーター作り

重さで上がる簡単なエレベーターを作ってみましょう。

箱の上部にストローを貼り付けます。

ストローにひもを通し、ひもの両端に取っ手をつけた紙コップを結ぶと重さで上がるエレベーターができます。

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下の写真では、おもちゃのかごを一方につけています。

重さで上げ下げするには、一方のカップが一番上にあるときに、もう一方が一番下にくるようにひもの長さを調整します。

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『子どもレストランのメニュー表』

日常の中で重さに親しむために、『子どもレストランのメニュー表』を作る取り組みをしてみましょう。

針で目盛りを読むアナログ式のはかりを用意します。

アイスクリームやヨーグルトなど、シリアルなど、各家庭で扱いやすい食材でメニュー表を作ります。

メニュー表を見ながら、子どもに注文を出して、アイスやヨーグルトを量って出してもらいます。

「中くらいのサイズのヨーグルトをください」と注文した場合、50g分のヨーグルトを量ってもらいます。

2年水のかさでも紹介しています

 

3年重さでも紹介しています

 

ちょうど50グラムになるのは、いくつの時?

50グラムぴったりになるのはいくつ? というゲーム

「ちょうど50グラムになるのは、いくつの時?」というゲームを紹介します。

でも、物によっては、ちょうど50グラムにならないものもあるので、

子どもより先にビー玉やブロックなどを乗せてみて、100gや200gといった

わかりやすい目盛りで止まらないか調べて、目指す重さを決めます。

 

<レベル1>幼児も遊べます

ビー玉をいくつ乗せると50gになるか、ビー玉の数を当てるゲームをします。

参加する子は、順番に、50gにするには、ビー玉を何個乗せたらいいのか、考えます。

「3こ」と言って、はかりに乗せてみると、針が50gの半分もいかないところを指していたとします。

でも、最初のうち、子どもはそれがどのようなことを意味しているのかわからないかもしれません。

 

 

「じゃあ、4こ」というようにあてずっぽうに答えがちです。

でもこうした遊びを少しするうちに、「3つまで乗せても、半分のところにいかないとすると、あと3つ足しても50gにはならないだろうだから、6こよりも多いはず」というように、

推理の仕方が次第に適切なものになっていきます。

 

 

 

 

いくつか乗せると、ちょうど50gぴったりの重さになるものを用意します。

重さの影響がでない軽い紙(折り紙が最適です)のトレイを使います。

 

<レベル2> 3年生レベルの重さの理解につながります

<レベル1>の遊びで、ちょうど50グラムになる数がわかったら、

ビー玉を量ってみると、9個で50gでした。四角いブロックを4こはかりに乗せると、50gでした。

ブロック1個とビー玉1個はどちらが重いのでしょう?

子どもの意見を聞いてみます。

ひとつのビー玉は何gなのか考えてみます。

 

 

<レベル3> 難しい3年生レベルの重さの理解につながります

乗せると針が動く一定の重さがあるトレイに

四角いブロックを4こはかりに乗せると、50gでした。「1こ何グラムかな?」などと、子どもとの会話を楽しみます。

この問題は、50gからトレイの重さを引いてから、

あまった重さを4で割って求めます。

 

<問題例>

重さ6gのトレイにブロックを4個乗せて量ると、50gでした。

ブロック1つ分の重さを計算しましょう。

 

 式(50-6)÷4=11  答え11g

 

 

3年重さでも紹介しています

 

ステップアップ 学習

どんぐりやビー玉など小さくてたくさんあるものを、

500gになるまで入れます。ちょうど500gになったところでどんぐりの数を数えてから、

1つがだいたい何グラムになるのか、どんぐりの数で割って計算します。

わり算のひっ算の練習中の子はひっ算で計算し、

どのように求めるのかだけ体験する子は電卓で答えを出します。

どのような場面でわり算を使うのか算数のセンスが身につきます。

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3年重さでも紹介しています

 

幼い子のためのはかりを使った遊び

粘土やどんぐりを使ったごっこ遊びや簡単な実験遊びに

はかりを取り入れると、楽しさが倍増します。

はかりに何かを乗せると針が触れる感覚を味わうだけ、

「100gです!200gです!」と適当な重さを口にするだけでも、

重さに興味を持つきっかけになります。

 

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上の写真はカタクリ粉を水で溶いたものを

空き容器にちょうど50グラムになるまで入れて計っているところです。

 

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最初のうちは、付箋や接着面を弱くしたシールなどで

量りたい重さのところにしるしをつけておくとわかりやすいです。