1年 たし算
計算カードでたし算を学ぶだけだと、一度は暗記して覚えていても時間とともに忘れてしまいがちです。
先に指や小道具を使った遊びで、数のイメージを身体に浸透させることが大事です。
その後、計算カードやプリントでの学習に入ると自然に答えが浮かんでくるようになります。
理解を助けるための遊びリスト
5と5をあわせるイメージで、繰り上がりを理解する
ブロックを使って繰り上がりのあるたし算の理解を助ける方法を紹介します。
5つの赤いブロックといくつかの黄色いブロックで数を表現します。
写真は6と7をブロックで作ったものです。
「合体するよ。5と5で10!」と言いながら、赤ブロックの部分だけを組み合わせて10を作ります。
慣れてくると子どもは、直観的にどれとどれがあわさって10になり、どれとどれがはんぱな数になるか、パっと見て判断できるようになります。
下の写真のように10の塊とバラの3を目で確認すると、どのような仕組みで数が繰り上がっているのかわかりやすいです。
あといくつで10になるか考えて、10を作る
<9+3の場合>
9個のブロックを用意して、後いくつあれば10個のブロックになるか考えさせます。
「9はあと1で10」といいながら、10のブロックを倒します。
倒すことで子どもは10個のブロックになったという実感がわきます。
残ったブロックを見て、12といえるように練習します。
ブロックでも紹介しています
たし算の形パズル
折り紙で計算パズルを作ると、計算をするのが楽しくなります。
計算の訓練に抵抗がある子も、自分で作った家やヨットのピースの数字を足しあわせるといくつになるのか関心を持つことと思います。
計算パズルを作ってみましょう。
折り紙(カラーの工作用紙で作るのもいいです)を2回ずつ折って、三角や四角を作ります。
↑ 四角形の折り方
↑ 三角形の折り方
↑ 平行四辺形
三角を3、四角を5、平行四辺形を7として、作った図形に数字を書きます。
お家の形やヨット、魚などの形を作って、数字をたし合わせて、問題カードを作ります。
問題カードの見本と答えです
上の写真はたし算パズルの例です。
「おうち9」とあるのが問題カードです。
たすと9になるようにお家の形を作ります。
子どもといろいろな問題を作ってみると楽しいです。
たし算 問題例
<教科書レベルの問題例>
(1)3+6=
(2)ねこが3ひきいます。4ひき くると みんなでなんびきになりますか。
(3)りんごが5つ。2つふえるといくつになりますか。
<応用問題例 1>
(1)あゆさんと けんくんは 4こずつどんぐりをひろいました。
めいさんは5こひろいました。3にんのどんぐりをあわせると なんこになりますか。
(2)赤は5点。黄色は3点。みどりは2点です。
赤+黄色+みどりは何点ですか。
<応用問題例 2>
□にどんなかずが はいりますか。
(1)□+5=7+6
(2)□に12をたすと26になります。
こんなところでよくつまずいています
いつまでも指をつかって計算する
解決法 1
ひとつの計算だけでも指を使わずにする
指を使う癖を卒業するには、「ひとつの計算でもいいから指を使わずにすると得をする」という状況を作ることが大事です。
計算カードをするにしても、指を使わずに計算できたら「キラキラグッズ」を渡して、「できた」という達成感や「できるようになりたい」という思いを引き出します。
(得点を思わせるものなら何でもOK。わざわざ買わなくても、お家にあるものでいいです。
かわいいシールを厚紙に貼って得点チップを作るのもいいです)
言葉でも「5+1は、指を折らなくてもできるね。パッと見たらわかるもんね。5たす1はタコ焼きやさん。食べる時はようじ」と手遊びを思い出させながら確認します。
ついでに、「5+2は、なな、ななラーメンだから、ちゃんとおはしで食べること!
きっと5たす2も、指を折らないでもできるよ」という具合にはげまします。
プリントや計算カードで学んでいると、「すばやく答えを出す」ことにばかり気を取られて、
数と数との間にある決まったパターンに気づけなくなることがよくあります。
指遊びでも紹介しています
1年数のきほんでも紹介しています
解決法2
計算の定着に遊びを取り入れて
● 指遊びやブロックを使った足し算練習で、計算の定着をはかります。
● ビンゴ遊びで、楽しみながら計算のルールに気づかせます。
計算が遅い
解決法 1
10のトレイを使ってたし算のイメージを作る
5と3が並んでいるのを見て、一瞬で8とわかり、あといくつで10かいえるようになると、
8+1や8+2がパッとわかるだけではなく、8+3=(8+2)+1=10+1=11で、
8+4=(8+2)+2=10+2=12といったくりあがりの計算も
頭のなかだけで操作しやすくなります。
この8同様、10のくぼみのあるトレイに入っているチップ(ビー玉等)の数をまず覚えて、
スムーズに言えるようになったら、くりあがりの足し算にチャレンジしてみます。
<例 6+5= の場合>
5と5をあわせると10になることを
5の部分と5の部分を指でなぞって確認し、
10とあまっている1で11になることを目で理解します。
同様の方法で、5+5、5+6、5+7、5+8、5+9、5+10
6+5、6+6、6+7、6+8、6+9、7+5、7+6、7+7、7+8、7+9、
8+5、8+6、8+7、8+8、8+9、9+5、9+6、9+7、9+8、9+9も、
パッと見て答えが言えるように練習します。
指で形を作って確認すると、さらに定着しやすいです。
道具10のトレイ でも紹介しています
解決法 2
たし算
「5の手(パーの手)と5の手(パーの手)で10になる」
ということを基本にして、10のトレイでの学習同様に、
5+5、5+6、5+7、5+8、5+9、5+10
6+5、6+6、6+7、6+8、6+9、7+5、7+6、7+7、7+8、7+9、8+5、8+6、8+7、
8+8、8+9、9+5、9+6、9+7、9+8、9+9 の計算が、パっと見るとわかるよう練習します。
指遊び例
<7+8の場合>
指遊び例
<7+9の場合>
上と下の写真は、7+9のたし算をしているところです。
「5と5で10で、2と4で6で、16」と言いながら、
5の指同士と、5以外の同士を合わせます。
教室で見かける年長児の姿でも紹介しています
解決法3
すごろくゲームに使うサイコロを3つにしてみます
すごろくゲームの際に、ひとりがふるさいころを3つにして、マス目をたしあわせた数だけ進ようにすると
自然にたし算に親しめます。
<創造的で遊びじょうずな子が計算が遅い場合>
知能が高くで物作りや遊びを広げる力は高いのに、コツコツ練習したり暗記
したりする作業を嫌がって計算が遅い子がいます。
そうした子に厳しい練習を課すと、算数嫌いになったり、
自分は算数が苦手だと思い込んでしまう場合があります。
こうしたタイプの子には、先に紹介したような計算パズルで、最終的にある数になるように
自分で足し算の形を作りだす経験をさせるのがおすすめです。
きっと計算が大好きになるはずです。
7+8など、何度も間違える計算がある
解決法
よく間違えるものだけ紙に書いて、間違えなかった時に得するようにする
7+8や6+9のようにしょっちゅう間違える計算は紙に書いて、
その横にシールを5~10枚シールのシートごと貼っておきます。
宿題をする時やワークをする時に、その計算を間違えずにできたら
シールをポイントカードに貼ってあげます。
「これを覚えたらとても得する。褒められる。いいことがある。」という状況は、
難しい課題に集中しようという気持ちを作り、まちがいが激減します。
シールがない場合、子どもの手の平に花丸を描く真似をするのでも
効果があります。
繰り上がりのある計算が習得できない
9+4という式を見た時に、
9の方に4から1つ数の玉が動くイメージが浮かぶようになると、
繰り上がりのある計算が定着してきます。
解決法
10のくぼみがあるトレイや積み木やブロックで10の椅子を作る
下の写真のように10このブロックを椅子にして
人形を乗せます。もし小さいサイズの人形がなかったら、折り紙を重ねて動物の形に切ったものやおはじきなどで代用できます。
アヒルの学校の机は10。アヒルたちが椅子ではなく机に座っているのは大目に見てくださいね。
アヒルが何羽いるのか、数えずにパッと言えるようになる練習をします。
上の写真では、学校に6羽のアヒルがいて、後から3羽きました。
もし小さいサイズの人形がなかったらおはじきなどでOK。
「学校に6羽いるよ。後から、3羽きたよ。何羽になるかな?」と
たずねて、後からきた3羽のアヒルを学校の机に座らせてみます。
少し慣れたら、「目だけでアヒルを動かして考えられるかな?」とたずねます。
<くりあがりのある計算を考えます>
「8+5=」という問題を考えてみます。
最初のうちは、実際にあひるを机に座らせて、13になることを確認します。
少し慣れたら、
後からきたあひるについて、どこからどこまでのアヒルが学校の席について、どこからどこまでのアヒルが外に残るのか
手で切る真似をしたり、分けたりします。
次に、「目だけでアヒルを動かせるかな?」とたずねて、
アヒルを動かさずに答えが出せるよううながします。
(発展)壁を作って、見えない状態でもくりあがりのあるたし算をイメージする練習もします。
上の写真のように、10のくぼみのあるトレイを使って、繰り上がりのあるたし算を学ぶことができます。
ブロックでも紹介しています
文章題の問い方が変わると、わからなくなる
解決法
「置いてみる課題 」から始めると、長い文章題も解けるようになります。
「シマウマにエサを3つあげてください。ライオンにはシマウマより1つおおく
エサをあげてください。シカには、ライオンより2つ少なくなるようにエサをあげてください」
と言って、物を置いて考えさせるようにします。
次に、置いているものはそのままで、「シマウマはライオンよりもひとつ少ない3つのえさをもらいます。
シカはライオンより2つ少なくなるようにエサを与えます。それぞれエサをいくつずつあげることになりますか」
というように、問い方を変えて問題を出してみます。
このように同じ問題を使って、問い方を変えた問題に取り組んでいると、
問い方が変わっても、きちんと解けるようになってきます。
発展
置いて解くことができるようになったら、紙に問題に登場した名前と
丸等をかいて解いてみるよううながします。
「文章題を作りなさい」という問題が苦手
解決法
数カードを置いて、いろいろな文章題を考えてみる
勉強として構えて算数の問題作りをさせると少しもできない子も、
リラックスしてまねっこOKで取り組んでいると、
いろいろな問題を考えるのが楽しくなってきます。
幼児も遊べる この単元への気づきを促す遊び
たし算のビンゴゲーム
たす数をめくって、計算した答えがビンゴのマスにあったら、輪ゴムをおきます。
たて、よこ、ななめのいずれかがそろったら、勝ちです。
たし算に強くなるおすすめゲーム
● 『ピッグテン』
● 『コヨーテ』
多人数で遊びます。
少し難易度が高いです。数の世界が好きな子向け。
● 『ハリガリ』
基本の『ハリガリ』ゲームは卒業かな?
という年齢の子たちと楽しく遊べて計算も得意になる……という
『ハリガリ』ゲームの遊び方を紹介します。
<年中~1年生用の遊び方>
最初は、「1」が出たらベルを鳴らすというルールでカードを重ねて出していきます。
次は、「2」になったらベルを鳴らすルールで、2ヶ所にカードを出していきます。
(1枚だけで2でもいいし、1が2枚でもOK)
その次は、「3」になったらベルを鳴らすルールで、1~3か所にカードを出していきます。
(時々、カードをまとめて、出す場所を調整します)
その次は「4」なったらベルを鳴らすルールです。1~3か所にカードを出していきます。
ベルを鳴らした人が、そこにあるカードをもらいます。
このようにして、「12」や「13」になってカードがなくなるまで続けます。
このゲームで即座に暗算する力や「あといくつで予定する数になるのか」
逆算するのが上手になります。
<2年生以上の子の遊び方>
カードを4枚出します。
それぞれの数を足したり引いたりかけたりしてできる数を言います。
同じ数を言わないようにメモしておきます。
誰も言ったことがない数を言った子で、他の子がそれ以外の計算の答えを思いつかなかったら、
場にある4枚のカードをもらいます。
日常のなかでこの単元を体感するには?
● お菓子を分けてもらう時、「もうひとつほしい」
「あと3こほしい」と思う時
● わなげやあて物ゲームで自分の得点をあわせるとき
● すごろくでマス目を進む時
● たし算を楽しくするための小道具
● チェックカウンター
● トランプ
● さいころ
● トランプを値札にしたお店屋さん。
買い物はいつも「ふたつ」します。
数をたして、お金の代わりにしyりつチップを、トランプのたした数の分だけ渡します。
● 簡単、得点ゲーム
「ピンクは3点。黄色は2点。青は1点。」のように
色別に得点を決めたら、輪ゴムを投げて、たし算ゲーム。
「ピンクは3点。黄色は2点。青は1点。」といった点数は、
表にするのでも、メモ程度に書き出しておくのでもいいです。
<文章題に使われることば>
● あわせて
● はじめいくつありましたか
● □まいずつ
● より□こおおく より□こすくなく
● とりだします
たし算 問題例 の答え
<教科書レベルの問題例>
(1)9 (2)3+4=7 7ひき (3)5+2=7 7こ
<応用問題例 1 >
(1)4+4+5= 13 13こ
(2)5+3+2=10 10点
<応用問題例2>
(1)8 (2) 14