2年 長さ

cmやmmといった記号や目盛りのない線に苦手意識を持つ子は多いです。

どうして12mmが1cm2mmと同じことなのか、どうして6mmと4mmをたすと1cmになるのか、戸惑う子がいます。

いきなり覚えさせるのではなく、日常のなかで長さの単位に触れる経験が必要です。

 

理解を助けるための遊びリスト

お人形たちの身体測定

 

ものさしを使ってお人形の身長を調べましょう。

楽しみながら、ものさしの目盛りを読む練習ができます。

 

人形の足の裏とものさしの目盛りのゼロが同じ位置になるように気をつけます。

写真のように積み木などを使って、(なければ、紙を切ったものでもOK)頭の上の高さがものさしのどの位置にあたるか確かめます。

遊びながら学ぶ場合、学校や園での身長測定の場面を再現し、「次の方。身長を測ります。はやく来てください!」などと言いながら測ります。

 

 

 

目盛りを見るのが難しい場合

目盛りを見るのが難しい子には、ふせんか紙の切れ端などで、測った目盛りより先を隠してしまうと、めもりを読むのが易しくなります。

ものさしに慣れたら、ふせんをはずして読む練習をします。

遊び お人形遊びでも紹介しています

 

線分図に気づく遊び

子どもたちに非常に人気がある2つの線分で1~20までの数を制覇する遊びを紹介します。

 

「5と3だけの線分を使って、できるだけたくさんの長さを作っていく」というシンプルなルールです。

 

作り方

1cmの方眼紙(できれば方眼マスのついた厚紙がいいです)を使って下の写真のように、3cmと5cmの長さの紙を作ります。

方眼マスのついていない裏面にそれぞれ3と5と書き込みます。

作った3と5の棒を使って、さまざまな線を引いてみる遊びをします。

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遊び方

最初に見本として、5と3を並べて線分を作り、線の両端に点を打って、8cmの線を引くところを見せます。

すぐに解答を教えずに、「わからないな」という時間を過ごさせる方がわかった時の喜びが強くなります。

また、自分で答えを突き止めようとする意欲につながります。

多くの子どもたちは、初めのうちは、8cm以外の長さが作れないといって、途方にくれます。

頃合いを見て、「5cmの紙を2回使って10cmの線を引けるよね」と言って、一つのパーツでも何度も使うことで長い線が引けることを見せます。

子どもは「あっ、できる、できる、5と3と足したのに、もう1回3を引っ付けたら、11になる」というように、いくらでも数を付け足せることに気づきます。

 

この長さの紙を使って引き算も学べます。

5と3を並べて、引き算して2の線を引くことに気づく子はあまりいません。「5より小さい数はつくれるかな?」「3よりも小さい数は作れるかな?」と問いかけて、しばらく待つようにします。

わからないようなら、少しだけ、ヒントを与えるようにします。

そうするうちに、5と3の線分だけ使って、さまざまな線が引けることに気づくはずです。

教室での取り組みでは、「100まで引けるよ!」「どんな数でも作れる!」といった、感激しきった声が次々と上がることがあります。

 

上の写真のように、 1~20までの数を書きだして、測ることができた数に丸をつけていくと、とても面白い線分パズルの問題になります。

5と3の長さの紙があれば、1から20までの数字は、すべて測ることができます。

20より大きい数もどんどん作り出すことができます。

 

ストローパズル

色の異なるストローがあったら、こんな楽しい線分パズルを作ることができます。

手で触れて動かせる素材に子どもは強く引き付けられます。

 

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長さが同じ2色のストローを用意します。

赤いストローと青いストローそれぞれの長さを5とします。

下図のように、赤と青のストローが3の長さだけ重なるように置きます、

「赤のストローのはみでている部分の長さはいくらでしょう?」

「青のストローのはみでている部分の長さはいくらでしょう?」

 

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ストローの数を増やしたり、ストローの並べ方を工夫するなどして、他にもいろいろな問題を作ってみましょう。

 

日常ではかる道具に触れる大切さ

単位の変換の仕方を忘れないためには、数字だけを暗記させるのではなく、実際に目で見て確かめて記憶に残すようにするのがポイントです。

「1センチは10ミリメートル」を学ぶ場合、ものさしを使う度に、1cmを10に分けている1mmの目盛りに注目させて、「1センチメートルは、10ミリメートルよ」と、手で長さを切る真似をして、子どもにもやらせるようにすると忘れにくいです。

 

子どもたちと工作しているときに、教室ではこうした単位の変換や角度の変化などを記憶に残る形で、何度も見せるようにしています。角度の変化を学ぶ時、親指と人差し指で90度を作って見せたり、周りの長さを学ぶ時、形の周りを手でなぞる真似をするといったことです。身体を使って学んだことは、しっかりと定着しやすいです。

 

ゲームで単位の変換に親しませる

ゲームの得点のチップを両替させることで単位の変換に親しませます。

簡単な例として、数を合わせて10を作ると得点がもらえるゲームをします。

 

まず初めに、数のついたカード(トランプやラミィキューブなど1から13までの数が書かれたもの)を用意します。

そのカードを全員に5枚配ります。

配られた人はカードの数字どうしを足したり引いたりすることで10を作ります。

10をつくれた人にはチップ(花はじきなど)を5個与えて、手札のカードを新しい5枚のカードに入れ替えます。

チップ10個分の価値がある小物(人形やアクリルビーズなど)を用意しておき、チップが10個たまった人は両替させます。

また、小物が10個たまった場合、チップ100個に当たる小物と両替させます。

 

たくさんチップを集めて、両替をくり返し、最も高い得点の小物に両替をした方が勝ちです。

 

 

 

ゲームの後で、100円1枚と10円を何枚と交換できるの?」といった

クイズを出して理解を深めます。

まわりの長さクイズ

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紙に形をかいて、まわりの長さを問うクイズを作ります。

紙と書くものさえあればできる遊びですが、長さについての理解を急速に深めてくれます。

 

クイズ例

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1.まんなかの しかくの まわりのながさは?

2.そとまわりの しかくの ながさは?

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まわりのながさは なんセンチメートル?

上の写真は、たて2cm、横5cmの長方形の紙を右のような形になるよう敷き詰めて、内側と外側のまわりの長さを考えているところです。

このように、たてと横の大きさが決まっている紙をいくつか用意して、それを使って作った形のまわりの長さを問う問題を作ると、長さの応用問題に強くなってきます。

 

長さ 問題例

< 教科書レベルの問題例 >

(1)ものさしを使って、5cm4mmの線を引きましょう。

(2)6mm+3cm4mm

 

< 応用問題例  1 >

(1)2mのリボンから32cmのリボンを切りとると何cmのこるでしょう?

 

< 応用問題例  2 >

(1)よこの長さがたての長さの3倍の長方形があります。

たての長さが3cmの時、まわりの長さは何cmでしょう?

 

 

こんなところでよくつまずいています

単位を変換することができない

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上の写真を見て、マジック1本を10として、色えんぴつを1とするとき、

あわせると、32になることがわかるでしょうか?

「1,2,3,4,5。答えは5!」と答えてしまう場合、単位の変換を理解するのに体感が足りていないかもしれません。

「10個スタンプをためて金色のコインと交換する」とか、

「10このビー玉と1このメダルを交換する」といった体験を積んで、単位のイメージをつかませます。

声やボディーランゲージで1cmの方が1mmより大きいイメージを表現するのも大事です。

 

まわりの長さを問う問題の応用問題でのつまずき

棒を移動させて別の形を作るパズル(マッチ棒パズルなど)で、

目で線を移動させる作業に親しんでおくと、こうした問題が得意になってきます。

まわりの長さを問う問題にチャレンジ

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(1)よこの長さがたての長さの3倍の長方形があります。

たての長さが5cmの時、まわりの長さは何cmでしょう?

(答え 40cm)

(2)よこの長さがたての長さの3倍の長方形があります。

よこの長さが9cmの時、まわりの長さは何cmでしょう?

(答え 24cm)

 

 

1年形遊びと広さ

リンク先で紹介している『くるくる棒作り』の延長で、こうした形クイズに発展させると、

長さの応用問題について学ぶのが楽しくなってきます。

 

線分図が苦手

えんぴつで線分を書く前に、ストローなどで、

「5がこれくらいの長さなら、3はどれくらいかな?」

「ここからここまでが4なら、のこりの部分はどれくらいかな?」と

線を数でとらえる練習をします。

子どもにすると、「1,2,3……」と数える対象もないのに数が書いてある線分は、何だかよくわからない見慣れない数の世界です。

いきなり線分の問題にチャレンジするのではなく、1本の線を書いてみて、

「これは5」「ここからここまでが3」など、

目盛りがなくても数を想定する練習をすると、線分の扱いへの苦手さが減ってきます。

 

のりしろのある問題が難しい

糊付けして貼り合わせた物の長さを考える問題は、紙に線分を書いて考えるうちにわけがわからなくなりがちです。

線分図を書いて考えるとき、両端にのりしろがある形なのに、のりしろひとつ分だけ引いて書き込んでしまうミスがよくあるのです。

実際に紙を貼ってみて、それに数字を書いたものと、線分に自分が数字を書き込んだものを見比べると、ミスが減ります。

 

 

 

上の写真のように、のりしろを作って紙を貼りあわせた後で、のりしろ部分とそうでない部分に線を引いて、それぞれの間隔にあたる長さを書き込みます。

のりしろひとつ分を引く両端のテープの長さと、のりしろ二つ分を引く両端以外のテープの長さを同じにしてしまう

ミスが多発します。

実際に貼ってみて確かめるとミスが減ります。

 

 

発展 ふたのない箱を作る問題

ふたのない箱を作る問題例

少し発展した長さの問題に、四角い紙の4つの角から正方形を切り取って、ふたのない箱を作る問題があります。

こうした問題は実際に紙から作った経験がないと難しいものです。

下の写真は、1辺が15cmの正方形の4つの角からそれぞれ1辺が2cmの正方形を切り取って、ふたのない箱を作っているところです。

 

 

箱の底の面の1辺の長さがどうなるのか、作ったふたのない箱に写真のように□を書いて、子どもに考えさせます。

ここでは、答えは、11でした。

課題

たてとよこが30cmの 正方形の 紙があります。

この紙の 4つの すみから、1つの へんが 5cmの 正方形を切りとって

ふたのない はこを つくります。

この はこの たて、よこ、高さは、それぞれ何cmに なりますか。

(解答 たて20cm よこ20cm たかさ5cm)

難しい問題ですが、この方法で実際に箱を作った経験があれば、イメージしやすくなります。

次は、正方形の紙ではなく、縦と横の長さの異なる長方形の紙を用意して、4つの角から同じサイズの正方形を切り取ってみましょう。

このふたのない箱の作り方を覚えておくと、工作でドールハウスのお風呂や筆箱を作る時に重宝します。

 

幼児も遊べる この単元への気づきを促す遊び

日常 と ひもやリボン

あやとりをしたり三つ編みの練習をするために毛糸を切りとることがあります。

そんな風に「ひもを切る」という機会は、ひもを切り分ける問題への理解を深めるチャンスです。

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ひもを切る時、だいたい何cmくらいに切るのか、1mくらいのひもを何等分するのか、

などを話題にすると、長さへの関心が高まります。

もし、お家にメジャーを両面テープで貼ってあるスペースがあれば、そうした切り分けることと同時に、長さの測り方を学ぶことができます。

 

身長計

部屋の一角に身長計を貼って、家族の身長を測るようにすると、長さの単位に強くなります。

目盛りがきちんと読めるようになったら、cmで表している目盛りを、mやmmの単位に言い換えてみます。

170cmは、1.7mでもあり、1700mmでもあります。

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ブロックで作る枠

子どもたちはブロックで長方形の外枠を作るのが大好きです。

人形用のプール、動物の囲い、ホッケーゲームなど、作るものはいろいろあります。

こうした外枠を作る遊びはまわりの長さへの気づきを生んでくれます。

 

 

興味を持ったことから、長さを意識する

深海魚に興味を抱いた子は、海の深さを意識するようになります。

恐竜好きの子は、恐竜の背の高さに関心を寄せるようになります。

 

ゲームが好きな子は、得点をブロックのパーツでわたすと、

どちらが勝っているのか、長さで比べることができます。

「どちらがどれだけ多いのか」を目で確かめることができます。

 

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日常のなかでこの単元の学びを体感するには?

● 長さ調べ

いつも使っている教科書やランドセルなど一部の長さを調べて、紙に書き出していきます。

 

● 車のサイズに合わせた駐車場を作って遊ぶ

 

 

 

文章題に使われることば

● のりしろ

 

長さ 問題例 の答え

<教科書レベルの問題例>

(1)省略 (2)4cm

 

<応用問題例>

(1) 1m68cm

 

<応用問題例>

(1)(3+3×3)×2=24 24cm